PTA会長が挨拶をする頃の僕たち

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祝辞の書き出しを「調べていい人」と「調べてはいけない人」

time 2025/12/29

卒業式シーズンになると、「祝辞 書き出し」「PTA会長 挨拶 例文」といった検索が増えます。

書き出しに正解はなく、自分らしい言葉で話すことが大切です。

ということを下記のページをお伝えしています。
 
卒業式の祝辞 ― 書き出しに正解はない
https://www.documedia-p.com/oiwai-support/blog/2598/

 

ここでひとつ、少し立ち止まって考えてみたいことがあります。

「書き出しを調べようとした時点で、自分らしくあることから離れてしまうのでは?」

これ、けっこう本質を突いた問いだと思うのです。

「調べる」という行為が奪うもの

本来、自分らしい言葉というのは、

  • 今、ここに立っていて
  • 目の前に人がいて
  • その空気を吸った瞬間に

ふっと口をついて出てくるもの。

検索窓に打ち込んで、例文を眺めて、使えそうなフレーズを拾い集める——その作業の中には存在しないものです。

「書き出しを調べる」「正解があると思う」「失敗したくないと思う」

この3つが揃った瞬間、祝辞は「言葉」ではなく「作業」になります。

結果として、

> 春の穏やかな日差しのもと〜

といった、誰が読んでも誰のものでもない文章が量産されていく。ある意味、当然の帰結かもしれません。

でも、「調べたほうがいい人」もいる

ただし、ここで話を終わらせてしまうと、大事なことを見落とします。

「PTA会長の卒業式の祝辞って、そもそも何?」

こういう状態の人は、調べたほうがいいのです。

これは「良い表現を探す」という話ではありません。純粋に、何も分からないのです。

  • 自分の立場が分からない
  • 何を話す役割なのか分からない
  • どこから始めればいいのか見当もつかない

つまり、言葉以前に「地図がない」状態。

この段階で調べるのは、正解探しでも美文収集でもなく、「座標確認」です。これは、とても健全なことです。

調べるべきは「名文」ではなく「役割」

問題になるのは、調べる対象を間違えたときです。

  • ❌ かっこいい言い回しを探す
  • ❌ 使えそうな一文をコピペする
  • ❌ 無難っぽい表現を集める

これらは、自分の立場が分かってからやると逆効果になります。なぜなら、せっかく芽生え始めた自分の言葉を、外から上書きしてしまうからです。

では、最初に調べるべきことは何か。

「PTA会長は、卒業式で何を”代表して”話す人なのか」

これだけでいいのです。

  • 校長でもない
  • 来賓でもない
  • 教員代表でもない
  • 「保護者代表」とも少し違う

PTA会長とは、学校と家庭のあいだに立つ人子どもたちの日常を、一番近くで見てきた大人の代表。

ここが腑に落ちた瞬間、書き出しは「探すもの」ではなくなります。

調べる「段階」と「目的」を間違えない

整理すると、こうなります。

調べていい人:

  • 立場も役割も分からない人
  • 調べる目的が「座標確認」である人

調べないほうがいい人:

  • 自分の役割は分かっている人
  • 調べる目的が「名文探し」「失敗回避」になっている人

「自分らしく話せ」というアドバイスは、正しい。

でも、それは「調べるな」という意味ではありません。

調べる段階と目的を間違えるな、ということなのです。

書き出しを「書こうとしない」という方法

最後に、ひとつだけ実践的なヒントを。

書き出しに悩んでいるなら、「書き出しを書こうとしない」のが一番の近道だったりします。

たとえば、こんなことを一文だけ書いてみてください。誰にも見せない前提で、敬語も体裁も気にせずに。

  • 今日、ここに来て最初に思ったこと
  • 今、壇上に立って一番気になっていること
  • 卒業生の顔を見て、胸に浮かんだ一言

その一文を、あとから「祝辞として通る形」に整えればいい。より高度な方法としては、卒業式当日まで書き出しを準備せず、「ぶっつけ」で話し始める。

要は、順番が逆なのです。

形式から入るのではなく、自分の中にある一言から始める。

本当に伝わる祝辞を書ける人ほど、「書き出しの正解」を探すのが一番遅い——そんな気がしています。

 
 
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この記事の著者

ニーバーオフィス

2006年以来、長きにわたり祝辞・挨拶原稿の代筆を行っている会社の代表者です。このサイトではPTA会長の祝辞・挨拶について、多くのPTA会長のご助力をしてきた経験からアドバイスをしています。