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引っかかりを生む「言い方の構造」を分解する

time 2026/01/06

「なんでこの人の話は引っかかるんだろう」

内容は正しい。言っていることも間違っていない。なのに、聞いていてモヤモヤする。そういう話ってありますよね。

第2回では、心の引っかかりが生まれる原因を「相手の問題」ではなく「言い方の構造」として見ていきます。どこに原因があるのかがわかれば、直し方も見えてきます。

第一回はこちら「なぜ「いい話」ほど届かないのか?」

原因は「言い方の構造」にある

話が刺さらないとき、「相手がひねくれている」「聞く耳を持たない」と思いたくなります。でも、それでは何も改善できません。

実際には、同じ内容でも、言い方の構造を変えるだけで聞き手の受け取り方は変わります。つまり、心の引っかかりが生まれるかどうかは、話し手側でコントロールできる部分があるんです。

引っかかりを生む構造には、いくつかの典型パターンがあります。これを「要注意パターン」として整理してみました。

6つの要注意パターン

聞き手の心に引っかかりを生みやすい言い方には、以下の6つのパターンがあります。

パターン 特徴 典型的な言い回し
A:断定 決めつけに聞こえる 「〜だ」「〜に決まってる」
B:一般化 例外を無視している 「みんな」「普通」「結局」
C:すべき 義務を押し付けている 「〜すべき」「〜しないと」
D:評価・上下 裁いている 「偉い」「ダメ」「意識が低い」
E:飛躍 根拠が省略されている 因果のジャンプ、論理の省略
F:事情の無視 相手の状況を見ていない 前提を拾わずに結論へ飛ぶ

これらのパターンが入ると、聞き手の心に引っかかりが生まれます。1つでも危険ですが、複数重なると「もう聞きたくない」という状態になってしまいます。

引っかかりの種類で直し方が変わる

心の引っかかりにも種類があります。どの種類の引っかかりが生まれているかによって、直し方が変わってきます。

事実への疑問──「それ、本当?」「根拠は?」という引っかかりです。根拠や前提の提示が足りていないときに起きます。パターンEの「飛躍」が原因であることが多いです。

価値観の違い──「自分は違う考えだ」という引っかかりです。大事にしているものが話し手と聞き手で違うときに起きます。パターンCの「すべき」やパターンDの「評価・上下」が原因になりやすいです。

自分で決めたい気持ち──「決めるのは自分だ」という引っかかりです。自由を奪われたと感じたときに起きます。パターンAの「断定」やパターンCの「すべき」がきっかけになります。

感情的な引っかかり──「責められた」「置いていかれた」という気持ちです。自分を否定されたと感じたときに起きます。パターンDの「評価・上下」やパターンFの「事情の無視」が原因です。

同じ内容でも構造で受け取り方が変わる

具体例で見てみましょう。同じ内容を伝えるのに、構造が違うと受け取り方がまったく変わります。

【引っかかりが生まれやすい構造】
教訓→結論→説教
「努力は必ず報われます。だから皆さんも頑張ってください。諦めたらそこで終わりです」

この構造には、断定(パターンA)、すべき(パターンC)、事情の無視(パターンF)が含まれています。聞き手は「努力しても報われないこともあるけど」「諦めるなって言われても状況が……」と引っかかってしまいます。

【引っかかりが生まれにくい構造】
観察→共感→問い→選択肢→提案
「何かに打ち込んだ経験は、結果がどうあれ残ります。もし今、迷っていることがあるなら、続けてみるのも一つの選択かもしれません」

断定を避け、選択肢として提示し、決定権を聞き手に返しています。同じ「努力の価値」を伝えていますが、心に引っかかりにくい構造になっています。

この回のまとめ

聞き手の心に引っかかりが生まれるのは「相手がひねくれているから」ではありません。言い方の構造に原因があります。

6つの要注意パターンを意識し、どこで引っかかりが生まれるかを特定できれば、直し方が見えてきます。引っかかりの種類(事実への疑問・価値観の違い・自分で決めたい気持ち・感情的な引っかかり)によって、アプローチも変わります。

次回は、引っかかりが生まれにくい「組み立て」を解説します。同じ内容でも、順番を変えるだけで受け取り方は変わります。

   

この記事の著者

ニーバーオフィス

2006年以来、長きにわたり祝辞・挨拶原稿の代筆を行っている会社の代表者です。このサイトではPTA会長の祝辞・挨拶について、多くのPTA会長のご助力をしてきた経験からアドバイスをしています。