PTA会長が挨拶をする頃の僕たち

中学校 卒業式でのPTA会長の祝辞 例文(豊かさは己の心にある)

time 2025/10/31

「豊かさは己の心にある」という精神のもと、自ら考え、感じ、創り出す力の大切さを伝えた中学校の卒業式祝辞の例文です。実際の卒業式では、ここまでは少し長すぎますので、バランスを考えるとより圧縮したほうが円滑です。

例文

本日、清野桜中学校を卒業される294名の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。

三年前の春、皆さんは、少し大きめの制服に袖を通し、胸を高鳴らせながら清野桜の門をくぐりました。
まだあどけなさの残る表情で、昇降口の桜を見上げていた皆さんが、今日こうして立派に巣立っていかれる姿を拝見し、胸が熱くなります。

この三年間、皆さんは本当に多くのことを経験してきました。教室では、先生方の問いかけに自分の考えを言葉にし、意見の違いを尊重しながら学びを深めてきました。文化祭では、クラス一丸となって企画を練り、最初はぶつかり合いながらも、最後には笑顔で舞台に立つ姿を見せてくれました。運動会では、勝敗を超えて、仲間を信じ、声を枯らして応援したその熱量が、清野桜らしさそのものでした。そして昨年の地域奉仕活動では、小さな子どもたちやご高齢の方々と触れ合いながら、「人のために動く喜び」を知りましたね。

コロナ禍の影響も残る中、マスク越しの笑顔で励まし合い、制限の中でもできることを見つけ出した皆さん。その努力と創意工夫こそが、今のまっすぐな瞳と凛とした姿に表れています。皆さんの三年間は、確かに「自分で世界をつくり出した時間」でした。

さて、本校は今年度、創立120周年という大きな節目を迎えました。清野桜の歴史を紐解けば、戦争や震災、社会の変化の中でも、教育の灯を絶やさずにきた先人たちの強い意志があります。
その根底に流れているのが、建学の精神「豊かさとは、是即ち、己の心にあり」です。これは、皆さんご承知のように、「自らの心を磨き、世界を見つめ、自分の手で豊かさを創り出せ」という厳しくも温かな教えです。

時代は今、急速に変化しています。AIが世界を形づくり、SNSが価値観を揺さぶる。便利さの中で、私たちは容易に「他人の幸せ」を自分のものと錯覚してしまいます。しかし、清野桜が大切にしてきたのは、他者に流されず、自分の心の中に灯を見つける力です。
嬉しいこと、悔しいこと、うまくいかない日々——そのすべてを受け止め、心を動かす力。それが「己の心にある豊かさ」であり、これからの社会を生き抜く本当の力になるでしょう。

まもなく皆さんは高校生になります。高校生活は、自由と責任の入り混じる時間です。自分の行動を自分で選び、結果を自分で受け止めなければならない場面が増えていきます。学ぶ内容も深くなり、人間関係も広がり、社会との距離も近づきます。その中で、皆さんにぜひ大切にしてほしいことが三つあります。

一つ目は、「問いを持つこと」。与えられた答えに満足せず、「なぜ?」を持ち続けることが、知の扉を開きます。二つ目は、「異なる価値を受け入れること」。清野桜で培ったチームワークの心を忘れずに、違いを恐れず、むしろ楽しんでください。そして三つ目は、「心を磨くこと」。結果や評価ばかりに目を向けず、日々の中で小さな感動を見つけ、自分を律し、誰かを思いやる心を育ててください。この三つを意識するだけで、どんな進路を選んでも、どんな困難に出会っても、皆さんの道は決して閉ざされません。なぜなら、「己の心の中に豊かさを見いだせる人」は、どんな状況でも希望を生み出せるからです。

保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。この三年間、皆様は、子どもたちの背中を見守りながら、時に励まし、時に静かに見守るという「清野桜の保護者」としての品格を体現してくださいました。学びの道は、子どもたちだけのものではありません。
喜びも迷いも、成長の痛みも、保護者の皆様が共に感じ、共に越えてこられた三年間だったと思います。

これからのお子様の道のりは、さらに広く、深く、挑戦に満ちたものになるでしょう。私たち大人にできるのは、もはや手を添えながらも、信じて見守ること。時には心配でたまらない日もあるでしょうが、どうか子どもたちの「自分で見つけようとする力」を信じてください。それこそが、この学校が保護者の皆様と共に大切にしてきた“信頼による教育”のかたちです。

このたびのご卒業、心からお祝い申し上げます。そして、これまでPTA活動を通して、学校の歩みを温かく支えてくださったすべての保護者の皆様に、改めて深く感謝申し上げます。

ご来賓の皆様、本日はご臨席を賜り、誠にありがとうございます。120年の伝統を未来へと繋ぐこの節目に、引き続き清野桜中学校へのご支援とご指導を賜りますようお願い申し上げます。

そして先生方。生徒一人ひとりを信じ、時に叱り、時に抱きしめながら導いてくださったことに、心より感謝申し上げます。
先生方のまなざしこそが、清野桜の「豊かさ」の象徴であると、私は思っております。

卒業生の皆さん。今日、ここで咲いた笑顔が、次の季節への第一歩です。どうか恐れずに、新しい世界へ羽ばたいてください。清野桜の風が、いつでもあなたの背中を押しています。皆さんの未来が、誇り高く、そして豊かに輝き続けることを祈っています。

ご卒業、本当におめでとうございます。

  

令和七年三月○日
  清野桜中学校
  PTA会長 ○○ ○○

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中学校 卒業式 祝辞 PTA会長の例文

卒業式 PTA会長の祝辞 例文(中学校 校訓「学んで豊かに 駆けて豊かに)

   

この記事の著者

ニーバーオフィス

2006年以来、長きにわたり祝辞・挨拶原稿の代筆を行っている会社の代表者です。このサイトではPTA会長の祝辞・挨拶について、多くのPTA会長のご助力をしてきた経験からアドバイスをしています。