PTA会長が挨拶をする頃の僕たち

卒業式の祝辞にNGワードはない。その場にふさわしいかで判断すべし。

time 2025/09/25

今回は、

卒業式の祝辞に「NGワード」はない。あるのは「その場にふさわしい言葉」と「ふさわしくない言葉」の区別だけ

というお話です。

この記事の要約:

  • 「NGワード」など存在しない
  • 大切なのは、常識的に考えて場にふさわしいかどうかの分別
  • 単語そのものではなく、文脈によって意味は変わる
  • 卒業式の祝辞は「チェックリスト」ではなく、心を込めたメッセージが何より重要

 
卒業式の祝辞の中で、使っちゃいけないNGワードがあるかのように伝える情報提供サイトを見ました。例えば、「落ちる」「滑る」「流れる」「取り消し」など。入学試験や進級といった場面を連想させて縁起が悪い、という理屈です。

言いたいことは分かります。ですが、これは無理やりすぎます。2006年以来、挨拶文作成を続けている当社の経験上、これは誤りです。

重要なのは「単語」ではなく「文脈」

単語そのものに注目するので、おかしくなるんですね。

「志望校合格が流れる」――こうした言い回しを卒業式で使うのは確かに不適切です。これは「NGワードだから」ではなく、社会通念上、場にそぐわない表現だからです。常識的に避けるのは当たり前のこと。要は、「わざわざ言いますか?そんなこと」です。

一方で、「時は流れる。誰に対しても平等に。大切なのは、その平等に与えられた時間をこれからどう使うかです」という言葉があったとしましょう。ここで使われる「流れる」は、むしろ深い意味を持った大切なメッセージです。これを「NGだから避けるべき」などと考えるのは本末転倒でしょう。

NGワードというものは存在しない

そもそも「NGワード」なるものは存在しません。あるのは「その場にふさわしい言葉」と「ふさわしくない言葉」の区別だけです。

ごくごく自然に考えて、相手を傷つけたり不快にさせるような言い方は避け、祝福や励ましにつながる表現を選べばそれで十分です。「この単語はアウト」「この単語はセーフ」といった機械的な発想に縛られる必要はまったくありません。

言葉を形式的に当てはめる無意味さ

本来、卒業式の祝辞は、卒業生の門出を祝い、これからの人生を応援するためのものです。そこに「言葉のチェックリスト」を持ち込んで、「この単語は使っていい・ダメ」と振り分けるのは、マナーの暴走に過ぎません。

言葉は単体で存在しているわけではなく、必ず文脈の中で意味を帯びます。大事なのは「言葉そのもの」ではなく「どういう意図で、どんな流れの中で伝えられるか」です。

 
卒業生にとって心に残るのは語り手の誠意や願いであって、形式的に使い分けられた言葉ではありません。

ということですね。

   

この記事の著者

ニーバーオフィス

2006年以来、長きにわたり祝辞・挨拶原稿の代筆を行っている会社の代表者です。このサイトではPTA会長の祝辞・挨拶について、多くのPTA会長のご助力をしてきた経験からアドバイスをしています。