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謝恩会でのPTA会長の挨拶には、卒業式にはない価値がある

time 2026/01/25

近年、謝恩会を縮小・廃止する学校が増えている。保護者の負担軽減、費用の問題、準備の大変さ —理由はさまざまだ。

だが、PTA会長の挨拶という観点から見ると、謝恩会には卒業式にはない価値がある。それは「温度感の違い」だ。

卒業式はセレモニーである

卒業式は、学校行事の中でも最も厳粛なセレモニーだ。式次第に沿って進行し、一つひとつの所作に意味がある。国歌斉唱、卒業証書授与、校長式辞、来賓祝辞、送辞、答辞 —すべてが決められた流れの中で行われる。

PTA会長の祝辞も、このセレモニーの一部だ。当然、フォーマルなトーンが求められる。

感情を込めることはできる。だが、感情を「表出」する場ではない。泣きながら祝辞を読むわけにはいかないし、砕けた言葉で語りかけるわけにもいかない。厳粛な空気の中で、抑制された表現が求められる。

謝恩会はセレモニーではない

一方、謝恩会はどうか。

謝恩会は、卒業式の後に保護者が主催して行う、先生方への感謝を伝える会だ。式典ではない。式次第はあっても、卒業式ほど厳格ではない。

雰囲気もカジュアルだ。食事をしながら、歓談しながら、笑いも涙もある。卒業式では見せなかった先生の素顔が見えることもある。保護者同士が「お疲れさま」と労い合うこともある。

つまり、謝恩会は感情を共有する場だ。

PTA会長の挨拶も、温度感が変わる

この場の違いは、PTA会長の挨拶にも影響する。

卒業式の祝辞では、以下のようなトーンになる。

  • 卒業生の門出を祝う
  • 保護者・教職員への感謝を述べる
  • 将来への期待を伝える

これはこれで大切だ。だが、どうしてもフォーマルな「型」に収まる。

謝恩会の挨拶では、もう少し自由になれる。

  • 先生方への本音に近い感謝
  • 保護者同士で過ごした日々への思い
  • 卒業の喜びと、同時に感じる寂しさ
  • 「終わってしまうんだな」という感慨

卒業式では言いにくいこと、表現しにくい感情を、謝恩会では伝えることができる。

卒業式と謝恩会、それぞれの役割

卒業式と謝恩会は、性格が異なる。

  • 卒業式:セレモニー。厳粛。必須。
  • 謝恩会:感謝を伝える場。温かみ。感情を共有できる。

どちらか一方で十分、というものではない。卒業式が「儀式としての区切り」だとすれば、謝恩会は「感情としての区切り」だ。

両方があることで、卒業という節目がより深く心に刻まれる。

謝恩会が減っていることの損失

謝恩会を廃止する学校が増えているのは、現実的な判断だろう。準備の負担、費用、共働き世帯の増加——やむを得ない事情はある。

だが、PTA会長の立場から言えば、謝恩会がなくなることは一つの「機会の損失」でもある。

卒業式の祝辞だけでは伝えきれないこと。フォーマルな場では出せない温度感。それを届ける機会が、謝恩会にはあった。

謝恩会が開催される学校のPTA会長は、この機会を大切にしてほしい。卒業式とは違うトーンで、感情を込めた挨拶ができる貴重な場だ。

まとめとして

謝恩会でのPTA会長の挨拶には、卒業式にはない価値がある。

それは「温度感の違い」だ。

  • 卒業式:セレモニー、フォーマル、感情は抑制的
  • 謝恩会:感謝の場、カジュアル、感情を表出できる

卒業の喜び、寂しさ、先生方や保護者への本音に近い感謝——謝恩会では、これらを素直に伝えることができる。

謝恩会が縮小傾向にある今だからこそ、開催される学校では、この機会の有意性を再認識したい。PTA会長にとって、卒業式とは別の「もう一つの挨拶の場」があることは、贅沢なことなのだ。

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この記事の著者

ニーバーオフィス

2006年以来、長きにわたり祝辞・挨拶原稿の代筆を行っている会社の代表者です。このサイトではPTA会長の祝辞・挨拶について、多くのPTA会長のご助力をしてきた経験からアドバイスをしています。